最近、アートネイチャーやアデランスのCMで、よく耳にするようになった増毛。我ら理美容師にも増毛施術を取り入れてるところもありますが、髪の根元に作られた人工毛は、自毛が伸びてくるとともに上がってきます。
そのため、増毛には定期的なメンテナンスが必要不可欠で、ずっと増毛施術を継続するのは難しい面があり、メニュー化はしていません。ですが、頻繁にテレビCMでも増毛が取り扱われ、「実際、増毛ってどうなの?」と聞かれることが増えてきました。
そこで、増毛の基本的なことについて説明します。
増毛の方法には、結毛式と編み込み式、接着式の大きく3つの方式が存在しますが、いずれも元の髪が伸びるとメンテナンスに行かなければなりません。
増毛の内容については分かっていても、増毛後のメンテナンスについては分かっていない。そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いざという時に焦らないためにも、増毛後のメンテナンスについてしっかりと理解しておきましょう。
結毛式のメンテナンス内容
結毛式の増毛は、自毛を活用して行います。
薄くなった箇所の自毛に人口毛髪を結いつけ、髪の毛の毛量を多く見せる増毛方式です。
結毛式の場合、月に1度程度のメンテナンスが必要になります。
結毛式では自毛の根本近くに人口毛髪を結いつけますが、この結び目が自毛の伸びと一緒に浮いてきます。
人間の髪の毛は1ヵ月に約1cm伸びると言われていますが、結び目が1cmも浮いてしまうと、不自然な外観になってしまうのは想像できるでしょう。
メンテナンス費用は1回で約1万円から2万円で、毎月となると結構な負担になる人もいるでしょう。
メンテナンス内容は、人口毛髪の結び目を解き、新しく自毛に結いつけ直す作業となります。早ければ1時間に2000本増やせると言われていますが、時間については実際に通われる増毛サロンに確認した方が良いでしょう。
また、日常的な髪の手入れとして、ブラッシングを行う人も多いと思います。浮いた結び目がヘアーブラシに引っ掛かることがありますので、ブラッシングの際は注意が必要です。
シャンプーに関しては、自毛と同様に行える場合が多いです。
編み込み式のメンテナンス内容
編み込み式は、頭に糸で編み込んだ土台を作り、人口毛髪を結いつける増毛方式です。髪の毛全体のボリュームアップを図れる他、結毛式よりも強度の高い特徴があります。
編み込み式は、結毛式と同様に月1回程度のメンテナンスを必要とします。
土台は自毛の上に作るため、髪の毛が伸びてしまうと、土台自体も頭から浮き上がってしまいます。そうなると見た目としてはかなり不自然な状態になりますので、メンテナンスに行かない訳にはいきません。
メンテナンス内容は、糸で編み込んだ土台の作り直しとなり、まとまった時間を必要とする場合が多いようです。
また、費用に関しても結毛式と比べて高くなるケースが多いです。
日常的な髪の手入れとしては、基本的に編み込み式も自毛と同様にシャンプーを行うことができます。
ですが、土台を傷つけないようにシャンプーする必要があります。
シャンプーのやり方は増毛サロンで教わることができますが、慣れるまでやり方に手間取り、必要以上に時間をかけてしまう可能性があります。
接着式のメンテナンス内容
接着式の増毛方式は、前述した2つの方法と少し異なります。
接着式は人口毛髪を植え付けたシートを頭皮に張り付けることで、増毛を行う方式です。
メンテナンス費用は1回約1万円と少額ですが、メンテナンスの頻度は2週間から4週間に1回程度と、他の増毛方式よりスパンが短いです。
接着式のシートは自毛を剃った頭皮に直接貼り付けます。そのため他の増毛方式と同様に自毛が伸びてくると、シートが浮き上がり外観が不自然になります。
またシートの貼り付けには特殊な接着剤を使用し、強力に接着します。しっかりと固定されるのは良いですが、通気性が悪くなります。
そのため定期的なメンテナンスを行わないと、接着面がムレて臭いが気になったり、炎症やかぶれを引き起こす危険性があるでしょう。
日常的にシャンプーが行えるかどうかは、シートの質によります。
その他にも通気性やメンテナンス性など質によって異なる部分が多く、他の増毛方式以上に実施する増毛サロンを吟味する必要があるでしょう。
メンテナンスの受け方について
増毛後は、最低でも月に1回は定期メンテナンスに通う必要があります。
基本的には増毛を行った増毛サロンに連絡をして、メンテナンスのスケジュール組みをします。
初回のメンテナンスについては、初めて増毛を行った際にスタッフから説明があると思います。
メンテナンス内容や注意事項、メンテナンスの頻度や費用について、後で困ることのないようにきちんと把握するようにしましょう。
どうしても初回のメンテナンスは緊張するかもしれません。しかし、増毛サロンに行きさえすれば、あとは専門のスタッフがメンテナンスを進めてくれますので、何も難しいことはありません。
また最近の増毛サロンでは、メンテナンスの度にカウンセリングを実施しているサロンが多いようです。頭皮環境についての心配事や自毛のケア方法、増毛後の悩みなど専門家からアドバイスを受けることができます。
相談事や心配事があるようでしたら、メンテナンスの前にまとめておくと良いかもしれません。
増毛にはいくつかの方式がありますが、どの方式にもメンテナンスは必要です。
定期的なメンテナンスを行い増毛後のケアに努めましょう。
床屋や美容室でのヘアカットは増毛を受けた後でも行けるのか
行き慣れた美容院や床屋があり、今後も変えるつもりはないという方は案外多いのではないでしょうか?
家から近くて行きやすいや、店の雰囲気が良い、今までの記録が残っているので同じようにしてもらえて安心。髪質にあった提案をしてくれるなど、決まったお店に通うのにはなにかしら理由があるのでしょう。
もし増毛を行った場合、いつもの美容院や床屋でカットをしてもらうことはできるのでしょうか?
またその際に、お店の方に秘密にしておくことができるのか、増毛したことを伝えるべきなのか気になります。
増毛後の床屋や美容院でのカットについて、調べてみました。
美容室や床屋で増毛はバレるのか?
たいていの方は、増毛していることを秘密にしたいと思っているのではないでしょうか。増毛がバレるということは、薄毛に困っているということとイコールだからです。
なるべく自然に増やし、周囲の人には自毛だと思わせたい。いつもお世話になっている美容師さん床屋さん相手でも、やはり伝えにくいでしょう。
ただ、増毛の技術は年々向上しています。
自然に見える増やし方なので、周りの人たちに増毛がバレることは少ないようです。
プロの美容師さんでも地毛との違いがわからないほど、クオリティが高いものもあるようです。
増毛はバレることが少なく、増毛前と同じように普段の生活を送れる薄毛対策であるといえるでしょう。
そうであれば秘密にしたまま、いつものお店でカットをお願いすることもできるかもしれません。
しかし、増毛がバレやすい場合もあります。
ひとつは短期間に大量に増毛を行った時です。
増毛後が自然にみえても、急に薄毛からふさふさへと大きく変化があれば、頻繁に会う人には何かしらの薄毛対策をしたことは分かってしまいます。
かつらをかぶっていると誤解されるかもしれません。
もうひとつは、メンテナンスが不足している時です。
増毛後は定期的なメンテナンスが必要です。何もせずに放置していると、髪が不自然に見え増毛がバレやすくなるでしょう。
ケアをしないとバレてしまう?
増毛の種類は主に3つに分かれています。
自分の毛に特殊な糸を編み込み土台を作り、そこに人工の毛を編み込んでいく方法。自分の毛に人工の毛を結んで増やす方法。人工の毛をあらかじめセットしたシートを、頭皮に貼り付ける方法の3種類です。
これらの増毛法では、地毛に合った毛色や毛質を選択することによって、ごく自然な仕上がりにすることができます。他人に増毛だと見分けられることは少ないでしょう。
また、かつらやウィッグと違い自分で着脱する必要はありません。シャンプーも自分でできますし、激しい運動も可能です。
他人はもちろん、自分でも見分けがつかない場合がほとんどです。日常の生活を、増毛する前と同じくように送れるのです。
しかし1度増毛を行ったあと、ずっと同じように自然なヘアスタイルを保つことができるわけではありません。
薄毛対策として増毛を行った場合、自分の毛はその後も伸びます。
当然ですが、結びつけたり貼り付けたりした人工の毛は伸びることはありません。そのため、時間がたつにつれてヘアスタイルが崩れ、増毛した部分も目立つようになるのです。
増毛直後のヘアスタイルをキープするには、メンテナンスを受ける必要があります。
専門店でカットする利点
増毛後のカットは、今まで通っていたお店では無理なのでしょうか?
増毛法によって違いますが、例えば結毛法の場合、ヘアカット自体は行きつけの床屋や美容院でもできます。
ただし、根本近くをカットする際に結び目の下を切ってしまうと増毛分がまるまる外れてしまうなど、注意しなければならない点がいくつかあります。
増毛であることに気付かずに今後伸びることを想定してのカットを行った場合、増毛部分は伸びないため思った通りのヘアスタイルにならない可能性もあります。
また増毛を秘密にしている場合、やはりバレてしまわないかドキドキしてしまうのではないでしょうか。
どうしてもいつものお店でという場合は、増毛をしたことを伝えた方が適切に対応してもらえるでしょう。
ただしメーカーによっては、増毛後のカットは自社の専門店でと決められている場合もあります。専門店以外でのカットが可能かどうかは確認が必要です。
逆に、メーカーが可能としていても、行きつけの床屋や美容院に対応できないと断られてしまうこともあるそうです。
メーカーと普段のお店の両方に確認を取り、注意事項なども伝えなければいけないとなると、意外と手間がかかりそうです。
どのみち増毛後のメンテナンスがまめに必要なのであれば、そのタイミングで専門の方にカットしてもらう方が安心です。
1から2ヶ月ごとのタイミングであれば、普段頻繁にカットをしているという方でも少なくはないでしょう。
専門店ならカットだけではなく、ボリュームの変更や髪の色の変更なども相談でき、さらにヘアスタイルを楽しむことができるのではないでしょうか。
増毛後のメンテナンスまとめ
増毛後のメンテナンス方法や頻度は、増毛の種類によっても異なります。
自分の毛を活かした増毛や、頭皮に貼り付けるタイプでは、増毛製品のセルフケアはできません。
例えば自分の毛に人工毛を結びつける結毛法の場合、増毛直後は自毛の根元落ち着いている人工毛が、自毛が伸びるにつれて頭皮から離れ、結び目が浮き上がった状態になります。
自毛は1ヶ月に1センチほど伸びるので、その分浮き上がるということです。
男性など短めのヘアスタイルの場合は、意外と目立ちそうです。
簡単には外れないように処置してあるため、自分で結び目を下げるなんてことは無理なようです。
少なくとも2ヶ月に1度は、専門店でのメンテナンスを受けましょう。
伸びて浮き上がった部分を結びなおしたり、気になる部分をさらに増毛したりします。同様に編み込みタイプの増毛も、自分の髪が伸びるにつれて土台が浮き上がります。
こちらも編みなおしなどの、メンテナンスが必要です。
では、貼るタイプはどうでしょう。
あらかじめ人工毛をつけたシートを頭皮に接着するタイプの増毛も、もちろんメンテナンスが必要です。
頭皮に直接貼るため、これを怠ると肌の炎症などの危険もあり得るでしょう。また粘着力が弱まり、ふとした時にはがれてしまっては恥ずかしい思いをしてしまいます。
どの増毛法も頻度の差こそあれ、メンテナンスは必要ということです。