猫っ毛をふんわり見せるコツ|理容師が教えるカットとセット方法

「髪が細くて、トップがぺたんこになってしまう」「ふんわりとボリュームを出したいのに、セットしてもすぐに寝てしまう」
このような悩みを持つ方は、少なくありません。
猫っ毛と呼ばれる、細く柔らかい髪は、ふんわりとした動きを出しにくいことがあります。髪を短くすればよいと思われがちですが、短くしすぎると顔や頭の形とのバランスが悪くなる場合もあります。
私は40年以上、理容師としてさまざまな髪質のお客様を担当してきました。その経験から感じるのは、猫っ毛をふんわり見せるには、髪の長さだけでなく、顔や頭の形、サイドとのバランス、カットの方法、そして自宅でのセットまで考えることが大切だということです。
この記事では、理容師としての経験をもとに、猫っ毛をふんわり見せるカットの工夫や、ドライヤー・整髪料を使ったセット方法について解説します。
猫っ毛の悩みは、トップのボリュームが出にくいこと

理容室で猫っ毛のお客様からよく聞くのは、「トップをふんわりさせたい」「もう少しボリュームが出るようにしてほしい」というご希望です。
髪が細く柔らかいと、根元が寝やすく、せっかくセットしても時間が経つとボリュームがなくなってしまうことがあります。
ただし、猫っ毛だからといって、必ずしも薄毛というわけではありません。
もともと髪が細く柔らかい方もいれば、年齢とともに髪が細くなったと感じる方もいます。髪の量が十分にあっても、髪質によってボリュームが出にくいことがあるのです。
そのため、カットするときも、単に髪を短くしたり、たくさん梳いたりすればよいわけではありません。
猫っ毛をふんわり見せるカットの工夫
1. トップを短くすればよいとは限らない
猫っ毛のお客様は、トップを短くすれば髪が立ち上がりやすくなる場合があります。
しかし、短くすることだけを優先すると、顔や頭の形とのバランスが悪くなることがあります。
私がカットするときに考えているのは、トップだけでなく、サイドや後頭部を含めた全体の形です。
例えば、サイドや後頭部を短く刈り上げるスタイルなら、トップも短めに整えることがあります。一方、サイドや後頭部にある程度の長さを残すスタイルなら、顔立ちに合わせてトップも長めにすることがあります。
大切なのは、トップにどれだけボリュームを出すかだけではありません。頭全体が自然にまとまり、その方に似合っているかどうかです。
2. 顔や頭の形とのバランスを考える

私は、カットするときに、頭から顔までの全体が縦長の卵型に近いシルエットになることを基本の一つとして考えています。
これは、すべての方を同じ形にするという意味ではありません。頭の横幅や高さ、顔立ちを見ながら、自然で優しい印象になるようにバランスを整えるという考え方です。
例えば、エラが張っていて顔が四角く見えやすい方は、トップに適度な高さを出し、頭の横の張りを自然に丸く見せることで、全体の印象が柔らかくなる場合があります。
反対に、顔も頭も縦長の方は、トップを高くしすぎると、さらに縦長に見えてしまうことがあります。その場合は、トップを抑え、サイドにある程度の厚みを残すほうがバランスを取りやすいこともあります。
つまり、猫っ毛だからといって、必ずトップをふんわり高く見せればよいわけではありません。
髪質だけでなく、顔立ちや頭の形に合わせて、ボリュームを出す場所を考えることが大切です。
3. 梳きバサミは、使い方と量が大切
猫っ毛をふんわり見せるために、私がカットで工夫していることの一つが、梳きバサミの使い方です。
髪を梳くことで毛量を調整し、髪が動きやすい状態にすることがあります。また、髪の根元から中間にかけて、立ち上がりを助ける短い毛をつくるように調整することもあります。
ただし、梳けば梳くほどよいというわけではありません。
梳く量が多すぎると、髪の間に隙間ができたように見えたり、短い毛がツンツンと立ち上がったりすることがあります。場合によっては、かえって薄く見えてしまうこともあります。
そのため、髪を触りながら、どの程度梳くと自然に動きやすくなるかを考えて調整しています。
私の店では、梳き具合の異なる梳きバサミを使い分けたり、スライドカットという技法を使ったりすることもあります。
スライドカットは、毛束を滑らせるようにして髪を削り、毛先や髪の動きを調整するカット技法です。こうした方法で短い毛をつくり、髪が立ち上がりやすいようにすることがあります。
ただし、どの方法も、やりすぎると不自然な仕上がりになる可能性があります。髪質や毛量に合わせて、少しずつ調整することが大切です。
猫っ毛には、どのくらいの長さがよい?

私の経験では、猫っ毛のお客様で、特に髪型を指定せず「すっきりと、いい感じにおまかせします」とおっしゃる方には、トップを10cm前後にして、髪を動かしやすくするスタイルを提案することがあります。
サイドや襟足は、少し刈り上げる場合もあれば、刈り上げずに自然に耳が出る程度に整える場合もあります。
ただし、10cmという長さが、すべての猫っ毛の方に向いているわけではありません。
髪質や毛量、顔立ち、希望する髪型によって適した長さは変わります。
実際に、あるお客様はトップを短くしたり、長めに残したりと、いろいろな髪型を試しました。
短くして立ち上がりやすくすると、顔とのバランスが合わず、顔が大きく見えるような印象になりました。一方、長く残すと髪のボリュームは出ましたが、髪のクセもあって、少し重たい印象になりました。
その経験からも、ボリュームが出ることだけでなく、似合うことや、普段の生活で扱いやすいことも大切だと感じています。
猫っ毛でも、短い髪型が合う方はいる
猫っ毛の方でも、ショートやソフトモヒカンなど、トップに高さを出す髪型が似合う場合があります。
実際に、普通のショートカットから、サイドを短くしてトップに高さを出すソフトモヒカンに変えたお客様がいました。
髪型を変えると、トップに高さがあるように見え、以前より活動的な印象になりました。ご本人の雰囲気まで変わったように感じられた例です。
ただし、短い髪型が苦手な方や、仕事上あまり短くできない方もいらっしゃいます。
流行の髪型をそのまま当てはめるのではなく、本人の好みや顔立ち、仕事で求められる印象なども考えながら選ぶことが大切です。
ドライヤーで猫っ毛をふんわりさせる方法

カットでボリュームを出しやすい状態に整えても、乾かし方によって仕上がりは変わります。
私がお客様にお伝えしているのは、整髪料を付ける前に、ドライヤーで根元の方向性をつくることです。
1. 根元を起こしながら乾かす
トップにボリュームを出したいときは、髪が少し湿っている状態で、指をブラシのように使い、髪をつかみながら根元を立ち上げるようにします。
髪を動かしたい方向へ少し引き出し、その状態でドライヤーの温風を当てます。
髪を引き出した形を2〜3秒ほど保ち、熱が落ち着くまで待つと、根元に方向性をつけやすくなります。
この作業を、ボリュームが欲しい部分で繰り返します。
ただし、ドライヤーを髪や頭皮に近づけすぎたり、同じ場所に長時間当て続けたりしないようにしましょう。
2. 最後に全体の形を整える
根元を立ち上げたあとは、指やブラシを使って全体の形を整えます。
トップだけを高くするのではなく、前髪やサイドとのつながりを見ながら、自然な形に仕上げることがポイントです。
ドライヤーでの乾かし方については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

猫っ毛には、軽めの整髪料がおすすめ
ドライヤーで根元を立ち上げても、髪質によっては、思ったほどボリュームが出ないことがあります。
そのような場合、ワックスなどの整髪料を使うことで、髪の動きやボリュームを整えやすくなることがあります。
1. セット力が強すぎないものを選ぶ
私が猫っ毛のお客様にワックスをおすすめするときは、セット力が強すぎないものを選ぶようにお伝えしています。
強いセット力があるものは、一度付けると髪型を調整しにくいことがあります。また、製品によってはワックスの重みで髪が寝てしまうこともあります。
まずは少量から使い、髪が重くならないか、自然なボリュームを保てるかを確認しながら調整するとよいでしょう。
2. 少量から、根元を立ち上げるように付ける
ワックスを使うときは、まず手のひらでよく伸ばします。
そのあと、髪の根元を立ち上げるようにしながら、根元から毛先に向かってなじませていきます。
最初に少しボリュームを出し、そのあとで希望する高さに抑えたり、指先で毛先の流れを整えたりすると、形を調整しやすくなります。
一度にたくさん付けると髪が重くなることがあるため、少量ずつ使うことをおすすめします。
ワックスの使い方や注意点については、こちらの記事も参考にしてください。

猫っ毛は、流れに逆らわない髪型もおすすめ
猫っ毛のお客様の髪型を考えるとき、私は髪を無理に立たせることだけを目指しているわけではありません。
髪の流れに合わせて自然に流すスタイルも、選択肢の一つです。
例えば、前方や斜め前に流すスタイル、自然な分け目を生かして横に流すスタイル、後ろへ流すスタイルなどがあります。
お客様の好みを伺いながら、髪の流れに合い、セットしやすい形を考えます。
猫っ毛でトップをツンツンと立たせたい場合は、カットやセットの調整が難しいこともあります。それでも、ご本人がその髪型を気に入っていて、普段から上手にセットできているのであれば、その希望を尊重することも大切です。
理容師としては、髪質だけを理由に髪型を決めるのではなく、お客様がどんな雰囲気になりたいのかを理解することが重要だと考えています。
女性の猫っ毛も、全体のバランスが大切
猫っ毛の悩みは、男性だけのものではありません。
年齢を重ねた女性のお客様にも、髪が細く柔らかくなり、トップや後頭部のボリュームが出にくいと感じている方がいらっしゃいます。
女性の場合は、男性のようなショートスタイルだけでなく、グラデーションカットなど、ある程度の長さを残す髪型も多くなります。
私の場合、襟足などの裾周りはすっきりと整え、トップや後頭部に自然なボリュームが出るように調整することがあります。
ただし、トップが重くなりすぎる場合は、レイヤーを入れて長さや重さを調整することもあります。梳きバサミやスライドカットを使い、髪が動きやすい状態にすることもあります。
女性の場合も、短くすればよいわけではありません。男性より長さを残すことが多いため、長さを生かしながら、自然なボリュームが出るように工夫しています。
特に後頭部に適度な丸みがあると、全体のシルエットが整い、柔らかな印象につながる場合があります。
髪質だけでなく、本人が希望する雰囲気や、普段のセット方法に合わせて考えることが大切です。
猫っ毛だからといって、発毛剤が必要とは限らない

猫っ毛で髪が細いことを気にして、髪を太くしたいと考える方もいらっしゃいます。
以前、もともと髪が細く柔らかいという理由で、国内承認のミノキシジル5%配合発毛剤を使っていたお客様がいました。その方は、髪が太くなることを期待して使用していたものの、変化を感じられないと相談されました。
そのとき私は、もともとの髪質が細く柔らかいことと、薄毛が進行して髪が細くなっていることは、分けて考える必要があるとお伝えしました。
猫っ毛だからといって、必ずしも発毛剤が必要になるわけではありません。また、発毛剤は製品ごとに使用できる対象や目的が定められています。使用を検討する場合は、製品の説明書を確認し、必要に応じて医師や薬剤師に相談してください。
髪が細いことだけで薄毛が進行していると決めつけず、髪質に合ったカットやセット方法を考えることも、一つの方法です。
まとめ|猫っ毛は、カットとセットで印象を変えられる
猫っ毛をふんわり見せるには、トップを短くしたり、たくさん梳いたりすればよいわけではありません。
大切なのは、髪質や毛量、顔立ち、頭の形、希望する髪型に合わせて、全体のバランスを整えることです。
また、ドライヤーで根元の方向性をつくり、必要に応じて軽めの整髪料を使うことで、ボリュームを出しやすくなる場合があります。
私が40年以上理容師としてお客様の髪をカットしてきた経験からも、猫っ毛に一つの正解があるわけではありません。
短い髪型が似合う方もいれば、ある程度の長さを残したほうが自然に見える方もいます。トップを高くしたほうがよい方もいれば、顔や頭の形とのバランスから、ボリュームを出しすぎないほうがよい方もいます。
猫っ毛が気になる方は、髪を無理に立たせることだけを考えず、ご自身の髪質や希望に合った髪型を理容師や美容師と相談してみてはいかがでしょうか。
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