ドライヤーの正しい使い方とは?理容師が教える髪と頭皮にやさしい乾かし方

シャンプーのあと、ドライヤーをどのくらい髪から離せばよいのか、温風と冷風はどう使い分ければよいのか、迷ったことはありませんか?
ドライヤーは、濡れた髪を乾かすだけでなく、髪の流れを整えたり、ボリュームを出したりするためにも使います。一方で、熱風を近づけすぎたり、同じ場所に当て続けたりすると、髪に負担をかけることがあります。
私は40年以上、理容師としてお客様の髪を乾かし、スタイリングしてきました。その経験から感じるのは、ドライヤーは温度や風量だけでなく、風を当てる位置や動かし方、髪の根元の扱い方も大切だということです。
この記事では、ドライヤーの基本的な使い方から、髪と頭皮に負担をかけにくい乾かし方、薄毛やボリュームが気になる方のスタイリング方法まで、理容師としての経験を交えて解説します。
ドライヤーの使い方で髪は変わる?
ドライヤーを使うときに気をつけたいのは、熱を一か所に集中させないことです。
温風を髪に近づけすぎたり、同じ場所に長時間当て続けたりすると、髪が熱の影響を受け、傷んでしまうことがあります。
私が理容師として見てきたお客様の中にも、前髪をしっかりセットしようとして、ドライヤーの吹き出し口を髪に近づけ、同じ部分に熱風を当て続けていた方がいました。
その方は、次第に髪が茶色っぽくなってきても、熱の影響をそれほど気にしていなかったようです。実際に髪の傷みが見られたため、熱を一点に集中させないことや、髪をいたわりながらセットする方法をお伝えしました。
髪が茶色くなったからといって、すべてがドライヤーによるものとは限りません。ただ、強い熱を繰り返し当てる使い方は避けたほうがよいでしょう。
ドライヤーは何センチ離せばよい?
一般的には、ドライヤーの吹き出し口から髪まで10~15cm程度離す方法が目安として紹介されています。
ただし、ドライヤーによって温度や風量は異なります。風量が強いものと弱いもの、温度を調節できるものとできないものでは、使い方も変わってきます。
そのため、距離だけを守ればよいというわけではありません。
- ドライヤーを同じ場所に当て続けない
- 髪の状態やドライヤーの性能に合わせて温度を調節する
- 熱さを感じたら、距離を離すか、温度や風量を下げる
- ドライヤーを小刻みに動かしながら乾かす
このような点を意識してみてください。
私の店では、温度や風量を調節できる業務用ドライヤーを使用しています。お客様の髪の長さや状態に合わせて調節していますが、家庭用ドライヤーでも、熱さを我慢せず、風を動かしながら使うことが大切です。
自然乾燥とドライヤー、どちらがよい?
シャンプー後は自然乾燥でよいのか、それともドライヤーで乾かしたほうがよいのか。気になる方もいるでしょう。
私は基本的に、シャンプー後はドライヤーで乾かすことをおすすめしています。
タオルで水分を拭き取っても、髪や頭皮には水分が残っています。髪が長い方や毛量が多い方は、乾くまでに時間がかかることもあります。
ただし、髪の長さや生活習慣によって事情は違います。坊主やベリーショートのように髪が短い方は、タオルドライだけでも比較的早く乾く場合があります。
私自身も、夜遅くなったときには自然乾燥に任せることがあります。お客様にはドライヤーをおすすめしているものの、自分では毎回必ず使っているわけではありません。
大切なのは、自然乾燥が必ず悪いと決めつけることではなく、髪や頭皮が濡れたまま長時間過ごさないようにすることです。
また、ドライヤーを使う場合も、強い熱を長時間当てればよいわけではありません。タオルでしっかり水分を取り、熱を当てる時間をできるだけ短くすることを心がけましょう。
髪と頭皮に負担をかけにくい乾かし方

1.まずはタオルドライを丁寧にする
ドライヤーを使う前に、タオルでできるだけ水分を取っておきましょう。
タオルドライが不十分だと、ドライヤーを使う時間が長くなりがちです。
ただし、濡れた髪をタオルでゴシゴシと強くこするのは避けてください。濡れた髪は扱い方に注意が必要です。
私がおすすめするのは、次のような方法です。
- タオルで髪を包み込むようにする
- 両手で軽く押さえたり、優しく揉んだりして水分を吸い取る
- 髪を強くこすらず、タオルに水分を移すようにする
髪の長い方は、タオルで髪を挟み、優しく押さえるようにするとよいでしょう。
タオルドライを丁寧にしておけば、ドライヤーを使う時間の短縮にもつながります。
2.髪の長さやドライヤーに合わせて風量を調節する
シャンプー後の髪を乾かすときは、風量を強めにすると早く乾かせる場合があります。
ただし、風量が強ければ必ずよいというわけではありません。髪の長さや量、ドライヤーの性能に合わせて調節しましょう。
私の店では、ある程度乾いてきたら風量を弱め、細かい部分を丁寧に乾かすようにしています。ショートヘアの場合は、最初から中程度の風量で乾かすこともあります。
家庭用ドライヤーでも、まずは取扱説明書に従い、使いやすい風量を選んでください。
3.ドライヤーを動かしながら乾かす
ドライヤーを一か所に固定せず、小刻みに動かしながら風を当てます。
特に気をつけたいのは、頭皮に近い根元や、前髪、耳周りなどです。
頭皮に近い部分は熱さを感じやすいため、必要に応じて距離を離したり、温度や風量を下げたりしましょう。
私が接客中に特に気をつけているのは、お客様の顔や耳に熱風が当たり続けないようにすることです。
ある女性のお客様から、以前通っていた美容院では耳周りが熱く感じたのに、私の店では熱くないと言っていただいたことがあります。
私の店では、基本の温度を設定したうえで、最初は風量を強めにし、乾いてきたら中程度に変えます。耳周りなどは、さらに風量を弱めることもあります。
このように、同じドライヤーでも、温度や風量、当てる角度を変えることで使い方を調整できます。
4.頭皮の近くは、熱さを確かめながら乾かす
髪の表面だけでなく、根元や頭皮に残った水分も乾かしていきます。
その際、ドライヤーを頭皮に近づけすぎないように注意しましょう。
私が店で乾かすときは、ドライヤーを持っていないほうの手を髪に添え、手に当たる風の熱さも確認しながら作業します。
ただし、手で熱さを感じないからといって、必ず髪や頭皮に負担がないとは限りません。熱さを感じたらすぐに距離を離し、温度や風量を調節してください。
また、髪の根元を乾かすときは、頭の真上から強い熱風を当て続けるのではなく、斜めから風を当て、ドライヤーを動かしながら乾かすとよいでしょう。
薄毛やボリュームが気になる人の乾かし方

薄毛や髪のボリュームが気になる方にとって、ドライヤーは髪型を整えるための大切な道具です。
ただし、ドライヤーの使い方で髪そのものが増えるわけではありません。ここでは、今ある髪を生かし、ふんわりとした見た目に整える方法を紹介します。
ただ髪を上に持ち上げるだけでは、ボリュームは出にくい
お客様の中には、ボリュームを出そうとして、髪をただ上に持ち上げながらドライヤーを当てている方もいました。
しかし、髪を上に持ち上げるだけでは、根元の向きが十分に整わず、思ったようなボリュームが出ないことがあります。
私が大切だと考えているのは、毛先だけでなく、髪の根元から向きを整えることです。
髪をどちらに流したいのか、どこにボリュームが欲しいのかを考えながら、根元に働きかけるように乾かしていきます。
指をブラシ代わりにして、根元の向きを整える
ブラシを使い慣れていない方は、指をブラシ代わりにする方法から試してみてもよいでしょう。
例えば、頭頂部の髪を左から右へ流したい場合は、次のように行います。
- 髪を軽く濡らし、寝ぐせや髪の流れを整えます。
- ドライヤーで全体を乾かし、スタイリングできる程度に水分を残します。
- 指を軽く曲げ、頭頂部の髪の根元付近を指でつかむようにします。
- 髪を流したい方向へ、根元から動かします。
- ボリュームが欲しい部分は、根元を少し前方かつ上向きに引き出すようにします。
- その形を保ちながら、ドライヤーの風を左右に動かして当てます。
文章だけでは少し分かりにくいかもしれませんが、ポイントは、髪の毛先だけを動かすのではなく、根元の向きを整えることです。
どの方向へ流すかは、髪型やつむじの向き、本人が希望するスタイルによって変わります。
私の経験では、根元を少し前方へ引き出すようにすると、ボリュームを出しやすいことがあります。ただし、すべての方に同じ方法が合うわけではありません。髪質や長さに合わせて調整してください。

ブラシを使うと、さらに形を整えやすい
指で根元の向きを整える方法でも、ある程度のボリューム感は出せます。
さらにしっかり形を整えたい場合は、ブラシを使うとよいでしょう。
ブラシで髪の根元を流したい方向へ動かし、少し前方へ引き出すようにして形を作ります。その状態でドライヤーの風を当てます。
ここでも、一か所に熱を集中させないことが大切です。髪や頭皮に近い部分では、ドライヤーを動かしながら風を当てましょう。
温風を当てたら、少し冷ましてからブラシを外す
私が長年のセット経験で大切だと感じているのは、温風を当てた直後にブラシを外さないことです。
髪に形をつけるときは、ブラシで根元の向きを整えた状態で温風を当て、そのあと少し冷ましてからブラシを外します。
温風を当てた直後にブラシを外す場合と、少し冷ましてから外す場合では、仕上がりに違いが出ることがあります。
冷風機能があるドライヤーなら、温風で形を整えたあと、冷風に切り替えて冷ます方法もあります。
ただし、冷風を使うことが必須というわけではありません。私の店では、温風を当てたあと、1~2秒ほど待ってから次の部分へ移る方法も取り入れています。
大切なのは、熱風を当て続けることではなく、根元の向きを整えた状態を保ちながら形を作ることです。
朝のスタイリングにもドライヤーを活用しよう
朝起きたときに髪がつぶれていたり、寝ぐせがついていたりすることはありませんか?
そのような場合は、髪を濡らしてから乾かし直すと、髪の流れを整えやすくなります。
寝ぐせがついた部分だけを表面からとかしても、根元の向きがそのままだと、思ったように整わないことがあります。
私がセットするときに意識しているのは、根元から髪の向きを整えることです。
例えば、頭頂部の髪を後ろへ流したい場合は、単にクシで後ろへとかしながら熱風を当てるだけではなく、根元の向きを整えてから形を作ることが大切です。
髪を濡らして根元の向きを整え、指やブラシで形を作りながらドライヤーを使ってみてください。
髪型によっては、ある程度乾かしてからワックスなどの整髪料を使うと、仕上げやすくなります。整髪料を使う場合も、まずはドライヤーで髪の流れや根元の形を整えておくとよいでしょう。
ドライヤーの使い方で気をつけたいこと
ここまでの内容を、日常で意識しやすいポイントにまとめます。
- タオルドライを丁寧にする: 髪を強くこすらず、タオルで包んで水分を吸い取ります。
- 熱を一か所に集中させない: ドライヤーを動かしながら使います。
- 距離や温度、風量を調節する: ドライヤーの性能や髪の状態に合わせます。
- 頭皮に近い部分は特に注意する: 熱さを感じたら、距離を離すか温度や風量を下げます。
- ボリュームは根元から整える: 髪をただ持ち上げるのではなく、流したい方向へ根元の向きを整えます。
- 形を作ったら少し冷ます: 温風を当てたあと、少し待つか冷風を使ってからブラシを外します。
ドライヤーの性能や髪質、髪の長さによって、適した使い方は変わります。特定の距離や温度だけを守ればよいというものではありません。取扱説明書も確認しながら、髪と頭皮に負担をかけにくい使い方を心がけましょう。
まとめ|ドライヤーはs乾かし方と根元の整え方が大切
ドライヤーは、濡れた髪を乾かすだけでなく、髪の流れやボリュームを整えるためにも使えます。
髪と頭皮に負担をかけにくくするには、タオルドライを丁寧に行い、ドライヤーを動かしながら、温度や風量を調節して乾かすことが大切です。
また、薄毛や髪のボリュームが気になる方は、毛先だけでなく、根元の向きを整えることを意識してみてください。温風を当てたあとに少し冷ますことも、スタイリングの工夫の一つです。
私自身、40年以上お客様の髪を扱ってきましたが、ドライヤーの使い方は、髪質や長さ、希望する髪型によって変わります。すべての人に同じ方法が合うわけではありません。
まずは、熱を一か所に当て続けないこと、そして根元から髪の流れを整えること。この2つから始めてみてはいかがでしょうか。

※この記事には、一般的なヘアケアの考え方と、理容師としての経験に基づく内容が含まれています。髪や頭皮の状態には個人差があります。



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