メンズの髪型でフェードカットが、今注目の髪型です。
一般の利用者にはフェードカットって何?どんな髪型?という方も多いのではないでしょうか?
我々理美容師の業界内でも実は統一した見解がないのです。それぞれの地域によっては、誤解というか違った情報になっているのは事実です。
そこで、ここでは私がいくつかの講習を受けた中でのフェードカットについて、まとめてみたいと思います。
もちろん、カットを受ける一般の方には、そんな定義はどうでもよく、今オススメのメンズのフェードスタイルを知りたいと思いますので、いくつか紹介しますので、是非参考にしてください。
フェードカットとは
フェードとは、「徐々に」「段々に」という意味合いがあるのですが、「穏やかに変化していく様」を表しています。
イメージとしてはごくごく薄いバリカン(ゼロミリもあり)を入れて刈り上げる。髪の毛の色彩が穏やかに、その濃淡が変化していきます。
業界用語では、極々短いグラデーションになっているのが、フェードと呼ばれる髪型です。
ベテランの理容師にとっては、昔ながらのバリカンを入れた髪型に近く、もっとスソを薄くしたヘアスタイルと捉えることができます。
超薄いバリカン(クリッパー)や極端にはゼロミリ、剃ってしまうような刈り上げのことをフェードカットというのかなと思っていました。
むしろ、ゼロミリや剃りこみの部分がある場合は、スキンフェードといって、極端な部類になります。まぁ薄さのグラデーションを極めていったら究極のフェードスタイルになったということなのでしょう。
自分のところは、0.1mmのバリカンはよく使いますが、剃ってしまうスキンフェードはないですね。
ゼロミリでやるのがフェードカットだという誤解!
もみあげや襟足などのスソ部分は、クリッパーのアタッチメントを使わない、いわゆるゼロミリで刈り上げ、そこから徐々に濃淡を付けたグラデーションを付けるのがフェードスタイル。
ローゾーンを剃ったり、ゼロミリでやるのがフェードカットだという誤解をしている理容師もいるようですが、原則は、ローゾーンは短く刈り込まれ、上部のなじむゾーンにかけて、グラデーションになっているのがフェードの定義です。上部のゾーンと色彩的になじませるという意味でもあるのです。
まぁ0.1mmなどのゼロミリベースで行うのがほとんどなので、あながち間違いではないのですが、必ず0ミリではないということですね。
活動的な男性にピッタリの髪型ですので、服装についてもフェードの雰囲気を醸し出した、トータルなファッションが特徴です。
おすすめのフェードスタイル○選
パートスタイルのフェードカット
これは、まさしくゼロミリから始めるフェードカット。
七三等のパートを入れたオーソドックなヘアスタイルです。
芸能人にも多いパートスタイル。ニューヨークバーバースタイルといっても良いフェードカットです。
左七三パートなら左側。分け目の上の部分まで短く刈り込めば、震災刈りになりますが、ローゾーンから濃淡を付けたグラデーションがフェードの定義なので、そこまで上に刈り上げると、フェードカットと言えないのではないかと私は思います。
クラシカルバック調のフェードカット
こちらもフェードに多いクラシカルなバック。少しリーゼントっぽく、こちらも活動的なヘアです。
基本的にフェードカットのスタイルは、こちらのバックか、パートスタイルがほとんどではないでしょうか。
ラインを入れたフェードスタイル
海外では、フェードスタイルにラインを入れた方も多いですよね。この写真のようにワンポイント的にラインを入れるだけでなく、もっと派手にデザインしたラインを入れている方もいます。
フェードカットの講習を初めて受けた時は、講師の方もモデルの方も、ラインだけでなくタトゥーを入れていたので、フェードって異次元の世界観を持ったものですが、日本でもバーバー新時代と称されるほど、メンズの髪型の定番になっています。
日本の場合は、地方都市でもバーバーヘアとして人気を得ていますが、ラインは右の写真のように分け目のラインに入れる程度が多いですね。
海外と日本でのフェードカットの違いとは?
アメリカなど、海外からのトレンドの影響もあり、フェードカットというのが一躍メジャーな髪型になりました。活動的な髪型なので、一般的なヘアスタイルというこではありませんが、フェードは認知度が上がっているのは確かです。
フェードカットのやり方で注意しなければならないのは、海外、とりわけ欧米のやり方(カット技法)行うと失敗します。
そもそも、日本人(東洋系)と欧米人では髪質が違います。
ユーチューブを見ると海外の方のフェードカット技法を良く見かけますが、このフェードカットを参考にすると、日本人の場合うまくいかなくなることもあります。
欧米人は髪が柔らかく、細くて量が多い。すなわち、髪が寝やすい。
日本人は髪が固くて太く、量が少ない。そのため、立ちやすい性質があります。
サイドが張って困っている人が実に多いのです。
欧米は髪が寝るので、シルエットよりも色彩重視
欧米人はサイドやバックの髪も寝やすいので、全体的なフォルム・シルエットにそれほど神経を尖らせる必要がなく、フェードのきれいな色彩を重視すればいいのです。
日本人は髪が立ちやすいのでシルエット重視
日本人は髪が立ちやすいため、色彩ももちろん大事ですが、シルエットに神経を使い、バランスを壊さないようにしなければなりません。
フェードを作る二つのアプローチ
フェードカットをつくる上で、アプローチ方法が二つあります。
1は欧米人の柔らかい髪質です。細くて量が多く、毛髪が均等にバランス良く生えているので、複数のバリカンを使うだけで、きれいなグラデーションの色彩が出来上がります。
ユーチューブで海外のフェードカットの施術を見ると、最後にチェックでハサミを使うだけで、ほとんどバリカンだけでやっています。理容師から見れば、そこはハサミでやったほうが早いのではと思う箇所はありますけどね。
2は日本人(東洋系)の髪質でやる方法です。硬くて太く、量が少ない髪質ということで、髪が多いところや少ないところがあって均等ではありません。毛の濃いところと薄いところがあったりのまだら模様的な生え方をしているのです。
そのため、0mm、2mm、2.5mm、4mm、5mm、6mmというように、バリカンを駆使して入れても、それだけで欧米人のようなきれいなグラデーションは出来ません。欧米人の場合でも、よく観察すれば、バリカンだけでは薄く段が残っていますが、日本人の場合は、もろに段が線になって残っています。
そのためハサミも積極的に使い、段を取るとともに、毛量の違うことによるまだら部分もハサミで調整しないときれいなフェードにならないのです。
メンズのフェードカットのやり方!
フェードカットでは、上部のなじむゾーンでは4~6mm、グレイゾーンでは3~4mm、白いゾーンでは0~0.8mmを入れるのが基本とされています。
シルエットの土台を作るために上部のなじむゾーンから始める
サイドが立って張りやすい日本人の場合は、サイドの上部のシルエットを加味して、最初はなじむゾーンからバリカンを入れ、続いて、グレイゾーン、白いゾーンへと下がっていきます。
上の写真の1番は最初の土台作りのために、バリカンではなくハサミで刈り込んでいます。サイドの生え方で特に立ちやすい方は、このなじむゾーンをハサミでカットしておくとバランスがとりやすい場合もあります。このなじむゾーンには6mm~8mmのバリカンを入れてもOKです。
続いて、グレイゾーンには2mm(写真の2番3番)、そして白いゾーンに0mm~0.5mm(写真の4番5番)を入れていき、それぞれの残った段、残ったラインをきれいにハサミでぼかしていきます。
下のラインからから始める
欧米人はサイドやバックの髪の毛も寝やすいので、下からの刈り上げがほとんどです。
ジャパンフェードというのがあって、そこでは上部のなじむゾーンから始めるのが基本です。いわゆる「刈り下げ」という言葉で表現していました。
とはいえ、元々刈り上げ、バーバーヘアが得意な理美容師であれば、下から始めても全然問題ありません。サイドのハチのハリを留意してカットすればいいのです。
まず写真の1番2番
スキンフェードの場合は、グレイゾーンより下部をまずは2mm程度、この写真では1mmぐらいのバリカンを入れていきます。
そして、裾周りの白いゾーンに0mmや0.5mmを入れてスキンフェードにしています。ここまでが2番の写真。
続いて、3番4番
なじむゾーンに4~6mmのバリカンを入れていきます。
ほとんどハサミを使わないですむように、なじむゾーンには3mm、4mm、6mmと使い分けてなじませてもOKです。
最後に5番
ハサミできれいな色彩に整えます。欧米では、バリカンをこまめに変えたり、C曲線でバリカンを駆使してハサミを極力使わないのがフェードですが、我々は実際にはこまめにバリカンで駆使しなくても、ハサミで刈り上げをするほうが、綺麗で早くカットできます。
このあたりは、臨機応変にやれば良いと思いますが、今風のフェードはバリカンが主で、そちらのほうが技術的にもカッコいいというイメージはありますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
フェードカットとは、ゼロミリベースから綺麗な色彩のあるグラデーションカットのことで、濃淡を作るスタイルです。
下のラインから刈り上げても良いのですが、サイドの立ちやすい部位を加味してから刈り下げのほうが失敗は少なくなると思います。