白髪染めは髪を傷める?理容師が教える原因とダメージを抑える方法

白髪が気になり始めると、定期的に白髪染めをする方も多いと思います。
きれいに染まると気分もすっきりしますが、何度も染めているうちに「髪がパサパサしてきた」「以前よりゴワゴワする」「髪が細くなったように感じる」といった悩みが出てくることはありませんか?
実際、白髪染めは髪の内部に働きかけて色を変えるため、少なからず髪に負担がかかります。特に、同じ部分に何度も薬剤を使用すると、髪の傷みが気になりやすくなります。
私は理容師として40年以上、さまざまなお客様の白髪染めを担当してきました。自分自身も白髪が多く、定期的に染めています。
その経験から感じるのは、白髪染めそのものだけでなく、染める頻度や薬剤の使い方、染めた後の手入れによっても、髪の状態は変わってくるということです。
この記事では、白髪染めで髪が傷む理由や、ダメージを抑えるための工夫、理容師として実際に行っている施術などを紹介します。
白髪染めをすると髪は傷むの?
一般的な白髪染めは、酸化染毛剤と呼ばれるタイプが広く使われています。
このタイプは、髪の内部に染料を浸透させて発色させると同時に、髪本来の黒い色素にも働きかけて色を調整します。
そのため、髪の表面だけに色を付けるものとは異なり、染める過程で髪に一定の負担がかかります。
染めた直後は、白髪がきれいに染まり、手触りにもそれほど変化を感じないことがあります。しかし、普段の手入れが不足していると、徐々にパサつきやゴワつきが気になってくる場合があります。
私の感覚では、白髪染めをした髪は、手入れをしないでいると少し硬くなり、ナイロンのような質感に感じることがあります。
特に髪が細い方は、傷みが進むとシャンプー中に髪が絡まりやすくなることもあります。
白髪染めをしているからといって、必ずひどく傷むわけではありません。ただし、髪に負担がかかる施術であることは理解しておきたいところです。
白髪染めで髪が傷む理由
一般的な酸化染毛剤は、1剤と2剤を混ぜて使用します。
1剤には主に酸化染料やアルカリ剤、2剤には過酸化水素が含まれています。
簡単に説明すると、薬剤の働きによって髪が膨らみ、染料が内部に入りやすくなります。同時に、過酸化水素などの働きで髪の黒い色素が脱色され、染料が発色することで白髪や黒髪の色が整います。
このように、髪の内部に作用する過程があるため、施術を繰り返すことで髪の状態が変化し、乾燥やパサつき、ゴワつきなどにつながることがあります。
また、白髪染めの色によっても、髪への負担は変わる場合があります。
明るい白髪染めは髪への負担が大きくなることも

白髪染めには、自然な黒に近い色から、明るめのブラウンや赤系など、さまざまな色があります。
明るい色に仕上げる場合は、黒髪の色素を明るくする働きが必要になります。そのため、一般的には暗めの色に染める場合よりも、髪への負担が大きくなることがあります。
当店でも、女性のお客様は年齢を重ねても明るめの白髪染めを希望される方が多くなりました。
男性の場合は、年齢や仕事によっても違いますが、自然な黒に近い色を希望される方が多い印象です。
私自身は、真っ黒に染めることはあまりおすすめしていません。新しく白髪が伸びてきたときに、染めた部分との色の差が目立ちやすくなるためです。
少し自然な色合いにしておくと、次に染めるまでの変化も目立ちにくいと感じています。
白髪染めを繰り返すと髪の傷みは増える?
白髪染めを繰り返していると、以前に染めた部分にも再び薬剤が付くことがあります。
特に毛先は、何度も染められることになるため、髪の傷みが蓄積しやすい部分です。
私が理容師として見てきた中でも、毛先からゴワゴワしたり、髪が絡まりやすくなったりする方がいます。
毎月染める人と2か月に一度の人で違いはある?
当店では、毎月白髪染めをするお客様も多くいらっしゃいます。
ただ、私の経験では、毎月染める方と2か月に一度染める方で、必ずしも明確な傷みの差があるとは感じていません。
染める頻度だけでなく、普段の髪の手入れや生活環境なども関係していると思います。
一方で、染める回数が増えれば、髪が薬剤に触れる機会も増えます。特に、同じ部分に繰り返し薬剤を付ける場合は注意が必要です。
月2回の白髪染めで髪がひどく傷んだ経験
以前、当店のお客様で、3週間に一度アイパーをかけている方がいました。
アイパーだけでも髪への負担があるため、当店では前処理や後処理を行い、薬剤に髪をケアするための製品を加えるなど、できる限り負担を抑えるように施術していました。
その方は自宅でも白髪染めをしていたのですが、あるとき、これまで月1回だった白髪染めを月2回に増やしたことがありました。
その後、髪が急にひどく傷んでしまったのです。
それまでは何とか状態を保てていたため、染める頻度が増えたことが大きく関係しているのではないかと考えました。
月1回に戻してもらったところ、徐々に以前のような状態に近づいていきました。
もちろん、これは一人のお客様の事例であり、すべての人に同じことが起こるとは限りません。ただ、白髪染めの回数を増やすことには注意が必要だと感じた経験です。
私自身も白髪が多いので、本当は月2回染めたいところですが、髪が細く傷みやすいこともあり、月1回から1か月半に1回程度にしています。
白髪染めによる髪の傷みを抑える方法
白髪染めによるダメージを完全になくすことはできませんが、施術方法や普段の手入れによって、髪への負担を抑えることは考えられます。
伸びた根元を中心に染める
白髪が伸びてくると、根元の白い部分が気になってきます。
毎回、毛先までたっぷり薬剤を付けて染め直すと、すでに染まっている部分にも薬剤が重なることになります。
そのため、必要に応じて伸びた根元を中心に染め、既に染まっている部分は色落ちや境目の状態を見ながら、必要な範囲だけ薬剤をなじませる方法があります。
当店では、根元の白髪を染めた後、既に染まっている部分にも色落ちや色の境目を確認しながら、必要以上に薬剤を付けないようにしています。
色をきれいにつなげることも大切ですが、既染部への薬剤の重なりをできるだけ抑えることも意識しています。
自宅で染める場合も、根元だけを染めるつもりで毛先に薬剤が付いてしまうことがあります。製品の説明書に従い、無理な自己判断で薬剤を塗り分けないようにしましょう。
染める間隔を必要以上に短くしない
白髪が目立つと、どうしても頻繁に染めたくなるものです。
私も白髪が多いので、その気持ちはよく分かります。
ただ、染める回数が増えるほど髪に薬剤が触れる機会も増えます。特に、短い間隔で全体を染め直すことは、髪への負担につながりやすくなります。
根元の白髪が気になる場合は、染める方法や使用する製品について理美容師に相談し、髪の状態に合わせて考えてみてください。
白髪染め後のトリートメントを大切にする
白髪染めをした後は、普段以上に髪の手入れを意識したいところです。
染めた髪はパサつきやすくなることがあるため、髪の状態に合わせてコンディショナーやトリートメントを使い、指通りやまとまりを整えましょう。
髪の傷みが気になる方には、洗い流さないトリートメントを使う方法もあります。
当店でも、傷みが強いお客様には、ドライヤーで乾かす前に洗い流さないトリートメントを使い、髪の指通りを整えてからセットしています。
ただし、トリートメントは傷んだ髪を元の健康な状態に戻すものではありません。手触りやまとまりを整え、扱いやすくするためのケアとして考えてください。
理容室で行っている白髪染めのダメージ対策

当店では、白髪染めをするときに、できるだけ髪や頭皮への負担を抑えられるように工夫しています。
使用する薬剤は、主にホーユーのプロステップです。また、ホーユーのプロフェッショナルシステムを組み合わせたケアも行っています。
施術では、次のような流れで前処理や後処理をしています。
- 染める前のケア
頭皮全体や髪の傷みが気になる部分を中心に、ヘアトリートメントを塗布します。 - カラー剤に加えるケア
髪にハリやコシを与え、切れ毛などを防ぐ目的のヘアトリートメントをカラー剤に加えて使用します。 - 薬剤を流す前のケア
頭皮や髪の傷みが気になる部分に、別のヘアトリートメントをなじませてからすすぎます。 - カラー後のシャンプーとトリートメント
カラー後の髪や頭皮に配慮したシャンプーで2度洗いし、その後トリートメントをなじませます。さらに、髪の状態に合わせてトリートメントを使用します。
こうしたケアを組み合わせることで、染めた後のパサつきや指通りに配慮しています。
ただし、どれだけ前処理や後処理を行っても、白髪染めによる髪への負担を完全になくせるわけではありません。
また、使用する薬剤やケア製品、放置時間などは、髪の状態や希望する色に合わせて判断します。製品ごとの使用方法を守ることも大切です。
白髪染めとヘアマニキュア・カラートリートメントの違い

白髪を目立たなくする方法は、一般的な白髪染めだけではありません。
ヘアマニキュアやカラートリートメントという選択肢もあります。
それぞれ染まり方や色持ち、髪への影響が違うため、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
ヘアマニキュア
ヘアマニキュアは、一般的な酸化染毛剤とは違い、髪の黒い色素を脱色せず、主に髪の表面付近に色を付けるタイプです。
そのため、一般的な白髪染めと比べると、髪への負担を抑えやすいという特徴があります。
当店では、通常のカラー剤でかぶれたり、アレルギー反応が出たりして使用できない方で、白髪を目立たなくしたいという場合に、ヘアマニキュアを選択することがあります。
ただし、ヘアマニキュアにも注意点があります。
- 一般的な白髪染めより色持ちが短い
- 黒髪を明るくすることはできない
- 頭皮や皮膚に付くと色が落ちにくい商品がある
- 汗や水分などで色が移る場合がある
当店で以前試した商品には、皮膚に付いても洗い流しやすいタイプがありました。しかし、汗をかいたときに色が落ちて衣服に付くことがあったため、メニューとしての取り扱いはやめました。
ヘアマニキュアは、白髪に色を付けて目立ちにくくする方法です。黒髪そのものを明るくすることはできないため、仕上がりの希望に合わせて選ぶ必要があります。
なお、ヘアマニキュアも、すべての人に皮膚トラブルが起きないというわけではありません。使用する製品の説明や注意事項を確認しましょう。
カラートリートメント
カラートリートメントは、トリートメントを使いながら、少しずつ髪に色を付けていくタイプです。
一般的な白髪染めのように髪の黒い色素を脱色するものではなく、主に髪の表面に色素を付着させます。
そのため、白髪には色が付きますが、黒髪を明るくすることはできません。
一度でしっかり染めるというより、繰り返し使いながら色を重ねていく商品が多く、シャンプーをするたびに少しずつ色落ちしていきます。
自宅で手軽に使える商品も多く、白髪を自然に目立たなくしたい方には選択肢の一つになるでしょう。
ただし、カラートリートメントも商品によって成分や使用方法が異なります。肌に合わない場合もあるため、説明書を確認して使うことが大切です。
白髪染めで頭皮がかゆくなる・かぶれる場合は?
白髪染めによる髪の傷みと、頭皮のかゆみやかぶれは別の問題です。
一般的な酸化染毛剤では、髪へのダメージだけでなく、皮膚にアレルギー反応が起こる可能性があります。
かぶれの症状には、次のようなものがあります。
- 頭皮や髪の生え際のかゆみ
- 赤みや腫れ
- ブツブツや湿疹
- 顔や首筋の皮膚の異常
これまで何度も問題なく染めていた方でも、突然アレルギー反応が出ることがあります。
白髪染めの前には毎回パッチテストを行う
酸化染毛剤を使用する場合は、自宅で染めるときだけでなく、理美容室で染める場合も、製品の説明書に従って毎回パッチテストを行うことが大切です。
一般的には、染める48時間前から皮膚アレルギー試験を行います。
過去に問題がなかったからといって、今回も大丈夫とは限りません。
また、一度でもヘアカラーでかぶれたことがある方は、同じタイプの酸化染毛剤を再び使用してはいけません。パッチテストをやり直して確認することも避け、皮膚科に相談しましょう。
染めている途中にかゆみや異常を感じたら中止する
以前、当店でも白髪染めの途中に「少しかゆい」とおっしゃるお客様がいました。
お客様ご本人は「大丈夫だから続けてほしい」と希望されることもありましたが、染毛中にかゆみや赤み、腫れ、強い刺激などの異常が出た場合は、我慢して続けてはいけません。
すぐに薬剤を洗い流し、医師の診察を受ける必要があります。息苦しさやめまい、全身にじんましんが出るなどの症状がある場合は、速やかに医療機関で対応してもらってください。
私の理容師としての経験でも、かゆみの原因が必ずしも白髪染めとは限らないケースがありました。
以前、染めてから1週間ほどして頭皮のかゆみと赤みが出たというお客様がいました。ご本人は白髪染めが原因だと考えていましたが、一緒に皮膚科を受診したところ、脂漏性皮膚炎と診断されました。
ただし、これはその方の個別の事例です。染めた後に症状が出た場合、理容師だけで原因を判断することはできません。自己判断せず、皮膚科で診てもらうことが大切です。
まとめ|白髪染めは染め方と普段の手入れが大切
白髪染めは、髪の内部に働きかけて色を変えるため、少なからず髪に負担がかかります。
特に、同じ部分に何度も薬剤を付けたり、短い間隔で繰り返し染めたりすると、パサつきやゴワつきなどが気になりやすくなります。
理容師として40年以上、白髪染めを担当してきた経験から、私が大切だと考えているのは次の点です。
- 必要以上に短い間隔で染めない
- 既に染まっている部分に薬剤を重ねすぎない
- 染めた後はトリートメントなどで髪をいたわる
- 髪の状態に合わせて薬剤や施術方法を考える
- 頭皮に異常を感じたら無理をせず、医師に相談する
白髪が気になると、できるだけきれいに染めておきたいと思うものです。私自身もその気持ちはよく分かります。
だからこそ、白髪を染めることだけでなく、染めた後の髪をどのように手入れするかも大切にしてほしいと思います。
髪の状態を見ながら、無理のない染め方と日頃のヘアケアを続けていきましょう。
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